貰い事故で脅された母

ある日、母が運転中に交通事故に遭いました。交差点で信号待ちをしていたところ、後ろから突然追突されたのです。完全な「貰い事故」だったため、こちらに過失はありませんでした。警察を呼び、現場でのやり取りを進めましたが、事故の加害者の態度が明らかに普通ではありませんでした。

相手は強面の男性で、開口一番「お前が悪いんじゃないのか?」と怒鳴りつけてきました。最初は謝る様子を見せていたものの、時間が経つにつれ、「修理代をどうしてくれるんだ」「慰謝料を払え」などと無茶な要求をし始めました。母は怖くなり、なるべく関わらないようにしていましたが、その後も何度も電話がかかってきて、プレッシャーをかけられました。

通常、このような場合は保険会社が間に入り話を進めるものですが、今回の相手は保険会社の担当者が何を言っても納得せず、「直接話をしろ」「誠意を見せろ」と執拗に母に接触を図ってきました。母は日に日に精神的に追い詰められ、外出するのも怖くなってしまいました。

そこで、知人の勧めもあり、弁護士に相談することにしました。弁護士に事情を説明すると、「このようなケースでは、絶対に相手と直接話してはいけません。すべて弁護士を通してください」と助言されました。その後、弁護士が相手側と保険会社との交渉を全面的に引き受けてくれることになりました。

驚くべきことに、弁護士が介入した途端、相手の態度は一変しました。それまで威圧的に接してきた相手が、弁護士を通すと突然大人しくなり、それ以上の無理な要求はしてこなくなりました。結局、適正な形での補償が決まり、母への直接の連絡も完全に止まりました。

今回の件を通じて、事故の後処理は保険会社だけでは十分でない場合があると痛感しました。特に相手が常識の通じないタイプだった場合、個人で対応しようとすると精神的に追い詰められます。弁護士に相談することで、余計なストレスを抱えずに済み、正当な補償も受けられます。母もようやく安心できるようになり、今では「あの時すぐに弁護士に頼んで正解だった」と話しています。

交通事故はいつ誰に降りかかるかわかりません。いざという時、早めに専門家の力を借りることが大切だと改めて実感した出来事でした。